おそらく平凡な日常

トレーニングの記録となんでもない事

パワハラ上司を科学する;津野香奈美,2023ちくま新書(読書録)

自分が就職した頃、ハラスメントという言葉を耳にすることはなかった。

当時は、主に小・中・高校の子供世代から、一般企業や公務員として働く大人世代にまで波及していた「いじめ」が社会問題となっていた。

初めて耳にしたハラスメントは「セクハラ」だったと記憶している。平成20年代あたりだろう。それが今やパワハラモラハラ、マタハラなど多くの「~ハラスメント」が社会問題とされ、その根絶に向けた取り組みがなされている。特に旧態依然の文化が色濃く残る会社や団体にとってその取り組みは容易ではないだろう。

かくいう自分も、ハラスメントに関する教育と対策を担当し、苦労した一人である。

教育を担当したといっても、官公庁のHPから引っ張れる教育資料やリーフレットで理解を深め、その資料を引用して紹介していたにすぎない。片手間な仕事であったと、今となっては少し反省している。

そういった経験もあって、興味深いタイトルにひかれて本書を手に取った。

本書は、パワハラが体系的に理解できるようにまとめられている。また、道徳心や感情に訴えがちな「パワハラ」に対して、多くの引用文献をベースにまとめられているため、これまでの教育資料よりも圧倒的に説得力がある。

会社などの教育担当でなくとも、会社や団体勤めの社会人であれば手に取る価値のある本だと思う。

今後は、内容をかいつまんで忘備録としてまとめていきたい。